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診断・治療 実績例(8)歩道を傷める樹木の根
 最近、街路樹でよく問題となる事は、舗装表面が根で浮き上がり歩行者、自転車などの通行に支障をきたす事が起きている。(下の写真を参照)
 特に道路の整備が早い時期に行われ、それに伴い街路樹がいち早く植栽された道路に顕著にみられる。
 それらの対策として現在はなるべく「根上り」が起こらないような植樹桝形状、歩道整備方法が研究されているが万全な対策はまだないといっていい。

【根が太くなり盛り上がり、歩道のアスファルトに亀裂】
 今回、このように「根上り」が起きた歩道の改修方法と改修工事を依頼されました。
 道路を維持管理する自治体にとって重要なことは、第一に安全な通行を確保、第二に伐採・撤去をしないで緑を守ること、第三に移植することなく費用をできるだけかけず維持管理する事です。それらを考慮しつつ改修方法を検討しました。

なぜ「根上り」が起きるのか?
 樹木の成長に伴い根が伸び、植樹桝内だけでは収まらず歩道路盤部へ根は伸び出します。しかし、歩道は、アスファルトの舗装を行うため十分転圧されていますし、長年の通行で締め固まり、根にとっては厄介な固い層となって立ちはだかります。そこで根は、空気と水をできるだけ早く吸収するために表層近くに張り出すのです。

Girdling Roots(ガードリングルーツ)とは
 聞きなれない言葉ですが、このように「根上り」を起こした樹木は植樹桝の中で行き場をなくした根がぐるぐる幹の周りを回りやがて自分自身を締めつけて枯死に至る事があります。

【ハルニレのGirdling Roots】
 今回の改修で掘削時の現況をスケッチで残しましたが、すべてが植樹桝の中でガードリングを起こしていました。
 左巻きにガードリングが起きてそれに押されるよう1本太い根が右巻きにガードリングしている。
対策
 (1)締めつけの強いガードリングルーツの撤去
 (2)根上りを起こしている根の処理
 (3)根の地中部への誘導
 (4)再度根上りを起こさないような処理
 「根上り」は樹木にとっても、通行する人にとっても大きな痛手です。早く処理することと、今後の植樹桝や歩道の構造を考える上でも大事な課題となると思います。
 そして、街路樹は都市で生活する人間のために植わっている事を忘れないでください。