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(6)ナナカマド 実がならないよ
東北・北海道では、ナナカマドが街路樹としてよく植栽されています。
また、旭川市ではナナカマドが旭川市の木として選ばれています。
ナナカマドは、夏に白い花を咲かせ、秋に紅葉、赤い実をならせその実は葉が落ちた後でも雪帽子をかぶって元気に枝にぶら下がっています。白い雪と赤い実のコントラストが美しいため北国では、緑化樹として重宝されています。
昔よく電話で、「ナナカマドはどんな花が咲くのですか」と、たずねられる事がありました。
赤い実が印象的なため花は見落とされがちなのでしょう。

でも、花が咲かなければ実はなりませんよ。
また、「植えたナナカマドに全然実がならないのはどうして」と聞かれた事がありました。

「いつ頃植えて、どのくらいの大きさになっていますか?」
お客様 「3〜4年ほど前に植えて、高さは3m以上あります」
「どんな場所に植わっていますか? 日当たりは?」
お客様 「庭に植わっています。日当たりは普通だと思います」

以上の話で私が推測した答えは……
皆さんも、どうして実がならないか?考えてみてください。

私が出した答え
ナナカマドの苗木なら実がならないのはあたりまえだけど、樹高が3m以上になっているなら実を付けても良いはず。極端に日当たりが悪いなら実はなりにくいが日当たりも普通、あと考えられるのは庭に植わっていると言う事なので庭の土肥料等に問題があると考えた。そして、「どうやって植えましたか」の質問に「良い土に入れ替えて堆肥や肥料を与えて植えました。毎年肥料をいろいろ与えています」

もうわかりましたね。答えは肥料のやりすぎ
あまりにも養分がありすぎる土にナナカマドを植えたため、ナナカマドは、安定して栄養を吸収できる。そのため、無理をしてまで花を付けて子孫を残すという作業をやめてしまったのです。お客様にすれば肥料をたくさん与えると、早くたくさん実がなると考えたのでしょう。その気持ち痛いほどわかります。
でもナナカマドは、実を付けなかったのです。

対策(実を付ける方法)
本来なら肥料分がなくなるまで、そのままにしておくのが良いのですが、どうしても実がなるのを見たいと言うので、こんなことはしたくありませんが根鉢の回りにスコップを入れて根切り、あら不思議、次の年大量の実を付けました。
根を切られることにより急に養分を吸収できなくなったナナカマドは、自分の身の危険を感じ、急きょ花を咲かせ実をつけて子孫を残す作戦に方向転換したのです。

けっこう樹木はしっかりした考えをもって生きている事がわかるでしょう。
これは種族保存の法則に基づいた樹木の生き方なのです。

ここで旭川の緑橋通りのナナカマドに注目してみましょう。ここは交通量も多く排気ガスも多い樹木にストレスの大きい場所です。老木となった街路樹のナナカマドは毎年大量の実を付けています。なかには、枯が進み実さえも付けられない枝もまばらにあります。
この現実を皆さんはどう考えますか?